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2015/7/8

経済産業情報

「ギリシャ向け販売は代替品のないもののみ」=フレゼニウス

この記事の要約

医薬品大手の独フレゼニウスがギリシャ向けの製品供給を制限している。売掛金を回収できなくなるリスクが高まっているためで、現地メーカーも手がける製品は出荷を停止。同社製品以外に選択肢がない医薬品だけを輸出している。広報担当者 […]

医薬品大手の独フレゼニウスがギリシャ向けの製品供給を制限している。売掛金を回収できなくなるリスクが高まっているためで、現地メーカーも手がける製品は出荷を停止。同社製品以外に選択肢がない医薬品だけを輸出している。広報担当者への取材をもとにロイター通信が6日、報じた。

ギリシャに輸出する場合も取引先を現地のディストリビューターに制限している。医療機関や公的機関に直接、販売すると、代金を回収できないリスクが大きいという事情が背景にある。製薬会社はギリシャ債務危機の発生後、売掛金を回収できずに多額の特損を計上した苦い経験を持つ。

独メルクは6,000万ユーロの売掛金に対し額面5,560万ユーロの国債を受け取った。このうち1,240万ユーロは全額回収できたものの、残り4,320万ユーロについては2012年に行われたヘアカット(債務元本の削減)で価値が810万ユーロに下落。トータルで回収できた額は2,050万ユーロに過ぎなかった。

フレゼニウスは現在、同国に輸出した製品の代金を回収しているものの、遅延月数は平均9カ月に上るという。

ギリシャは医薬品の多くを輸入に頼っている。同国のユーロ圏離脱懸念が高まり国外から医薬品を調達できなくなることが現実味を帯びてくるなか、欧州連合(EU)のマルティン・シュルツ欧州議会議長は、患者の生命にかかわる医薬品は人道支援プログラムで供給する必要があるとしている。