欧州経済の中心地ドイツに特化した
最新の経済・産業ニュース・企業情報をお届け!

2015/7/1

ゲシェフトフューラーの豆知識

派遣社員の正社員化で最高裁判決

この記事の要約

派遣社員の派遣期間は「一時的」でなければならない。これは労働者派遣法(AUEG)1条1項第2文に記されたルールである。このルールをめぐる係争で、最高裁の連邦労働裁判所(BAG)が4月に判決(訴訟番号:9 AZR 883/ […]

派遣社員の派遣期間は「一時的」でなければならない。これは労働者派遣法(AUEG)1条1項第2文に記されたルールである。このルールをめぐる係争で、最高裁の連邦労働裁判所(BAG)が4月に判決(訴訟番号:9 AZR 883/13)を下したので、ここで取り上げてみる。

裁判は派遣会社から被告デパートGに派遣されていた派遣社員が同デパートを相手取って起こしたもの。原告は2008年6月23日から派遣会社の有期雇用契約社員となり、11年2月1日からは契約期限のない社員となった。

原告は常に被告Gデパートに派遣されていた。派遣期間が長期になったため、派遣期間は一時的でなければならないとするAUEG1条1項第2文の規定に反すると主張。被告Gデパートとの間に雇用関係が発生したとして、同デパートの正社員にすることを要求した。被告が受け入れを拒んだため、提訴した。

原告は1審で敗訴したものの、2審で勝訴。最終審のBAGでは再び敗訴した。判決理由でBAGの裁判官はまず、派遣期間が長期化したかどうかは定かでないと指摘。Gデパートへの原告派遣には法律の定めに基づく労働局の許可が下りており違法性はないとして、原告の訴えを棄却した。

■ポイント

派遣社員を派遣先企業が正社員として採用しなければならないのは、派遣の際に必要となる労働局の許可を得ていないため派遣契約が無効な場合に限られる(AUEG9条1項と10条1項第1文、第2文に基づく)。