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2015/9/23

ゲシェフトフューラーの豆知識

無断欠勤の繰り返し、解雇できないことも

この記事の要約

被用者が行った問題行動が業務に著しい障害をもたらす場合、雇用主は当該社員を原則的に解雇できる。これは解雇保護法(KSchG)1条2項に記されたルールである。ただし、実際のハードルは高く、簡単には解雇できない。このことを実 […]

被用者が行った問題行動が業務に著しい障害をもたらす場合、雇用主は当該社員を原則的に解雇できる。これは解雇保護法(KSchG)1条2項に記されたルールである。ただし、実際のハードルは高く、簡単には解雇できない。このことを実感させる判決をマインツ州労働裁判所が5月に下したので、ここで取り上げてみる(訴訟番号:7 Sa 641/14)。

裁判は流通企業の倉庫業務に携わる社員が同社を相手取って起こしたもの。同社員は2013年6月7日に無断欠勤したため、第1回目の警告処分を受けた。その後10月4日と11月8~20日にも無断欠勤し、11月11日付の文書で2度目の警告を通告された。それにもかかわらず14年5月2日に再び無断で欠勤したため、同社は12日付の文書で解雇を通告。解雇の理由として◇業務が滞った◇原告の同僚が穴埋めを余儀なくされた――を挙げた。つまり、業務に大きな障害が出たのである。

1審は原告敗訴を言い渡したものの、2審のマインツ州労裁は逆転勝訴を言い渡した。判決理由で同州労裁の裁判官は、問題行動を理由とする解雇では解雇通告の対象となった被用者の利益と雇用主の利益を総合的に判断しなければならないと指摘。被告企業の業務に支障が出たのは確かだが、◇原告の勤続年数が23年以上と長く、13年6月に警告処分を受けるまでは問題行動を起こしていない◇原告には子供の扶養義務がある◇10月4日と11月8~20日の無断欠勤は姉妹の死亡とそれに起因する入院、およびアルコール依存症治療の入院が理由だ――として、引き続き雇用を求める原告の利益は雇用の打ち切りを求める被告の利益に優越するとの判断を示した。

最高裁への上告は認めなかった。

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