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2015/10/14

総合 - ドイツ経済ニュース

15年成長率を下方修正=秋季予測

この記事の要約

Ifoなど有力経済研究所は8日に公表した共同作成の「秋季経済予測」で、今年の国内総生産(GDP)見通しを下方修正した。新興国の経済状況が前回予測を作成した春の時点よりも悪化しているためで、前年を実質2.1%上回るとした春 […]

Ifoなど有力経済研究所は8日に公表した共同作成の「秋季経済予測」で、今年の国内総生産(GDP)見通しを下方修正した。新興国の経済状況が前回予測を作成した春の時点よりも悪化しているためで、前年を実質2.1%上回るとした春季予測から同1.8%増へと引き下げた。来年については同1.8%とした予測を据え置いた。

有力経済研究所は春と秋の年2回、「予測」を共同作成して政府に提出している。今年4月の「春季予測」では石油価格の大幅下落とユーロの交換レート低下を踏まえ、2015年GDP成長率を従来見通しの1.3%から2.1%へと大きく引き上げた。

今回これを再び下方修正したのは世界経済の現状が思わしくないためだ。先進国の景気は全般的に良好なものの、中国は経済の構造転換を受けて主要産業の建設、製造、貿易が低迷。その他の新興国も石油や鉱石など資源価格の急落が直撃しており、ブラジル、ロシアは景気後退局面が続いている。

秋季予測は、量的金融緩和を昨年秋に終了した米連邦準備理事会(FRB)が今後さらに利上げへと踏み切ると、資金流出で融資条件が悪化する新興国も出てくると指摘した。FRBの利上げは第4四半期中に行われる可能性が高いとみている。

ドイツ経済は今年上半期、これまでに引き続き個人消費がけん引車となりプラス成長を確保。成長率は第1四半期が0.3%、第2四半期が0.4%に達した。雇用の拡大と実質賃金の上昇、石油価格の急落に伴う可処分所得の拡大がプラスに働いている。輸出もユーロ安とユーロ圏経済の回復が追い風となり大きく伸びた。

今後も個人消費が成長の最大の原動力であり続ける。また、難民の急増を受けて政府最終消費支出が拡大し、GDPのプラス要因となる。

輸出はユーロ圏向けが好調に推移するものの、新興国向けは停滞。特に新興国最大の輸出先国である中国向けは振るわない見通しだ。ユーロ安の輸出押し上げ効果も徐々に弱まっていく見込みで、GDP成長率に対する外需(輸出-輸入)の寄与度は今年0.4ポイントにとどまり、来年は0.1ポイントへと落ち込む見通しだ。

インフレ率は石油など原料価格の下落を受けて昨年の0.9%から今年は0.3%に低下する見通し。来年は原料下落の影響が弱まるため1.1%へと上昇するものの、欧州中央銀行(ECB)が適切な水準とする2%弱をなおも大幅に下回る。

これまで低下してきた失業率は来年、上昇に転じる。難民の急増で失業登録者が増加することが背景にある。求人需要自体は旺盛で、就労者数は拡大が続く。

ドイツ全体の財政黒字は今年230億ユーロとなり、昨年の89億ユーロから大幅に拡大する。来年は難民向けの支出が増えるため、黒字幅が130億ユーロに縮小する。