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2015/10/21

経済産業情報

ダイムラーがCO2冷媒エアコンを17年投入

この記事の要約

自動車大手の独ダイムラーは20日、二酸化炭素(CO2)を冷媒に用いたカーエアコンを2017年からメルセデスベンツブランドの乗用車に搭載すると発表した。CO2冷媒を採用するのは同社が初めてで、まずは上級モデルである「Sクラ […]

自動車大手の独ダイムラーは20日、二酸化炭素(CO2)を冷媒に用いたカーエアコンを2017年からメルセデスベンツブランドの乗用車に搭載すると発表した。CO2冷媒を採用するのは同社が初めてで、まずは上級モデルである「Sクラス」と「Eクラス」に標準装備する。それ以外のモデルについては当面、引火性のある冷媒「R1234yf」を利用する。

欧州連合(EU)では地球温暖化係数(GWP)150以下の冷媒を使用することが17年1月から全面的に義務づけられる。この基準を満たす冷媒はこれまで米ハネウェルとデュポンが共同開発したR1234yfに限られており、欧州委員会はメーカー各社に同冷媒の採用を命じていた。

ダイムラーは当初、R1234yfを採用する予定だったが、独自に行った試験で高温のエンジンルーム内で引火性を持つことが確認されたため同冷媒の採用を棚上げ。ドイツの他の自動車メーカーおよびサプライヤーの協力を受けて引火懸念のないCO2冷媒カーエアコンの開発に着手した。

CO2冷媒エアコンは気圧が従来製品の10倍の100気圧でないと作動しないため、部品を新たに開発しなければならなかったが、これに成功。独自動車工業会(VDA)で規格を策定した。

ただ、CO2冷媒エアコンはコストが高いため、投入はさし当り上級モデルに限定する。それ以外のモデルには引火防止機能付きのR1234yf冷媒エアコンを導入し、安全性を確保。具体的には正面衝突事故が起きた場合、R1234yfをエンジンの高温部品から隔離したうえで、アルゴンガスでスピード冷却する装置を搭載する。