電気通信大手のドイツテレコム(ボン)は23日、不特定多数の利用者を対象とするパブリッククラウド事業に本格参入すると発表した。中国の通信機器大手、華為技術との提携。来年3月に開催される国際情報通信技術見本市「セビット」に合わせて新サービス「オープン・テレコム・クラウド」を立ち上げる。
オープン・テレコム・クラウドでは華為技術がハードウエアを担当。ドイツテレコムのITサービス部門Tシステムズが電算センター、通信網、クラウド管理を引き受ける。
ドイツテレコムは顧客企業の社内利用向けに提供するプライベートクラウドの分野に強く、シェル、ダイムラーなど世界的な大手企業を顧客に持つ。これに対し、不特定多数の利用者を対象とするパブリッククラウドでは米IT大手に水をあけられている。
ただ、米国家安全保障局(NSA)の大規模なスパイ活動が暴露されたことを受けて、米国のクラウドに情報を保存することに対し懸念を持つ企業が増えたことから、ドイツテレコムは米国の法律が及ばない欧州にデータセンターを構えることでセキュリティの高さをアピール。アマゾンなどの米IT大手から顧客を奪い取る考えだ。
オープン・テレコム・クラウドについてはすでにパイロットプロジェクトを実施した。スタートアップ、中小企業、大企業など様々な規模の会社30社が参加。同プロジェクトで得られた成果を今後のサービスに反映させていく。