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2015/12/9

ゲシェフトフューラーの豆知識

最低賃金以下の賃金受け入れを被用者が拒否、解雇は不当

この記事の要約

法定最低賃金以下の賃金で働くことを拒否した被用者を解雇することは違法である――。そんな判断をザクセン州労働裁判所が6月に下した判決(訴訟番号:2 Sa 156/15)で示したので、ここで取り上げてみる。 裁判はタクシーセ […]

法定最低賃金以下の賃金で働くことを拒否した被用者を解雇することは違法である――。そんな判断をザクセン州労働裁判所が6月に下した判決(訴訟番号:2 Sa 156/15)で示したので、ここで取り上げてみる。

裁判はタクシーセンターの配車係が雇用主を相手取って起こしたもの。解雇通告を受けた当時の賃金は1時間当たり7.35ユーロだった。

ドイツでは2015年1月1日付で、全国一律の法定最低賃金が導入された。1時間当たり8.5ユーロと定められている。

被告雇用主はこれを踏まえ14年7月29日、原告の配車係に労働契約の変更を打診した。同契約案は時給を8.5ユーロに引き上げるものの、サービス残業を義務づけるという内容で、実質の時給は8.5ユーロを下回っていた。

このため原告は熟考したいと回答。8月5日になって15年からの労働条件について話し合いたいと申し出たところ、同8日付の文書で15年1月末付の解雇を通告されたため、その取り消しを求めて提訴した。

1審のツヴィッカウ労働裁判所は原告勝訴を言い渡し、2審のザクセン州労裁も1審判決を支持した。判決理由で同州労裁の裁判官は、被用者の権利行使を理由に雇用主が当該被用者を差別することを禁止した民法典(BGB)612a条の規定を指摘。労働条件について協議したいという原告の申し出を受けて解雇通告したことはこの規定に抵触するとの判断を示した。最高裁への上告は認めなかった。

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