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2015/12/16

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アイクストロン―中国企業が発注をほぼ全面撤回―

この記事の要約

半導体製造装置メーカーの独アイクストロン(ヘルツォーゲンラート)は9日夜、中国の発光ダイオード(LED)チップ大手、三安光電(Sanan Optoelectronics)からの受注規模を大幅に縮小することで両社が合意した […]

半導体製造装置メーカーの独アイクストロン(ヘルツォーゲンラート)は9日夜、中国の発光ダイオード(LED)チップ大手、三安光電(Sanan Optoelectronics)からの受注規模を大幅に縮小することで両社が合意したと発表した。三安光電の特殊仕様要求に対応できなかったため。同発表を受けて、アイクストロンの株価は10日、40%急落した。

アイクストロンは2014年9月、三安光電から、MOCVD法(化学気層法)という製法を採用したLED製造装置「AIX R6」を50台、受注した。受注額は明らかにしなかったものの、同社史上最大と強調していた。8,000万~1億ユーロと推定されている。

今回の合意では受注台数をすでに納入した3台にとどめることを取り決めた。競合の米ビーコは三安光電から受注したLED製造装置を問題なく納入しており、アイクストロンは差を付けられた格好だ。

アイクストロンは受注の激減を受けて12年から赤字を計上しており、今回のキャンセルの痛手は大きい。今年の売上高は1億9,000万ユーロとなり、10月に示した予想レンジ(1億9,000万ユーロ~2億ユーロ)の最低水準にとどまる見通し。当初は2億2,000万~2億5,000万ユーロを見込んでいた。

売上高はピーク時の10年には7億8,380万ユーロに達していた。当時は液晶テレビのバックライトがLEDに切り替えられる時期に当たっており、中国のLEDメーカーは同製造装置を大量に調達。この結果、LED業界は過剰生産能力を抱え込むことになり、アイクストロンの業績は急速に悪化した。

同社は来年の売上高も横ばいの1億9,000万ユーロにとどまるとみている。営業損益(EBITベース)を黒字転換させるためには売上高で2億5,000万ユーロが必要としていることから、EBITは来年も赤字になるとみられる。

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