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2015/12/16

ゲシェフトフューラーの豆知識

解雇一時金と解雇訴訟放棄の特別金で最高裁判決

この記事の要約

企業が整理解雇を行う場合、社会的計画(Sozialplan)というリストラ計画を労使の協議で策定し、対象となる被用者に解雇一時金を支給する。解雇に伴って被用者に生じる経済的な不利益を緩和するためである。 整理解雇を行う企 […]

企業が整理解雇を行う場合、社会的計画(Sozialplan)というリストラ計画を労使の協議で策定し、対象となる被用者に解雇一時金を支給する。解雇に伴って被用者に生じる経済的な不利益を緩和するためである。

整理解雇を行う企業はまた、解雇撤回訴訟の放棄を確約した当該被用者に特別金を支給することがある。裁判を起こされると時間とコストがかさみ企業の負担となるため、そうした面倒な事態を回避することが狙いだ。

では、解雇されても次の職場が保証されている被用者に対しても企業は解雇一時金と解雇訴訟放棄の特別金を支給しなければならないのだろうか。この問題をめぐる係争で最高裁の連邦労働裁判所(BAG)が8日の判決(訴訟番号:1 AZR 595/14)で判断を示したので、ここで取り上げてみる。

裁判はドイツテレコムの子会社を2008年に買収した企業(A社)で買収後も公務員身分を保持していた被用者が、A社の後継企業(B社)を相手取って起こしたもの。

ドイツテレコムは1995年の第2次郵政改革で民営化されるまで、国営企業(ドイツ連邦ポスト・テレコム)だった。このため、民営化後も公務員身分の被用者をグループ内に抱えている。

A社の社員となった公務員身分の被用者は給与の支給を受けながら勤務を全面的に免除されていた。

A社は13年、事業整理に伴い労使共同で社会的計画を作成し、解雇一時金の支給を決めた。また、解雇撤回訴訟の放棄を確約した当該被用者に特別金を支給する協定も被用者代表との間で結んだ。

公務員身分の被用者は両手当の支給対象から除外された。これらの被用者はドイツテレコムに復帰できることが決まっており、解雇で経済的な不利益が発生しないことが明らかだったためだ。

だが、公務員身分の被用者はこれを不当な差別と判断。両手当の支給を求めてA社の後継企業であるB社を提訴した。

最高裁のBAGは原告(公務員身分の被用者)の訴えを半分、認める判決を下した。解雇整理一時金については、解雇後の職場が保証されている被用者を同一時金の支給対象から除外できるとした事業所体制法(BetrVG)112条5項2の規定を指摘。支給しなかったことに問題はないとの判断を示した。

一方、解雇訴訟放棄の特別金に関しては、企業が事業計画を立てやすくすることが支給の狙いだと指摘。解雇後に雇用が保証されているかどうかとは別問題であり、原告には受給の権利があるとの判断を示した。