IT大手の米IBMは12月15日、ドイツ南部のミュンヘンにIoT(モノのインターネット)部門「ワトソンIoT」の世界統括拠点を設置すると発表した。ドイツは産業化の度合いが高いうえ、ミュンヘンには自動車、電機、半導体など幅広い分野の製造業が集積していることから、白羽の矢を立てた。
IBMはIoT事業を成長の柱と位置づけており、3月には同分野に今後4年間で30億ドルを投資すると発表。この関連で天気予報専門テレビ局運営の米ウェザーカンパニーを10月に買収した。
IBMは人間が用いる自然言語を理解・学習するコンピューター「ワトソン」をIoTに活用し、競合に差をつける考えだ。IoT部門を統括するハリエット・グリーン氏は、IoT分野のデータの約90%は現在、利用されていないと指摘。ワトソンは未整理の巨大データを瞬時に分析、関連付けて新たな知見を獲得できるとして、同コンピューターを利用することで顧客企業は新たな製品やサービスを開発できると強調した。
ミュンヘンのIoT拠点では研究開発従事者などが初年度に700人勤務。将来的に1,000人体制に拡大していく。同拠点への投資額は明らかにしていないが、IBMの欧州投資では20年以上ぶりの規模になるという。