経営不振の独造船会社ノルディック・ヤーズ(ヴィスマール)を買収する方向でマレーシアの複合企業ゲンティンが交渉しているもようだ。『フランクフルター・アルゲマイネ(FAZ)』紙が2月26日報じたもので、すでに買収金額で合意が成立し、近日中に成約する見通しという。買収金額は1億ユーロのケタ台に上るもよう。ノルディック・ヤーズは報道内容へのコメントを控えている。
ノルディック・ヤーズはロシアの投資家ヴィタリ・ユスホフ氏が独ヴォーダン造船所を買収し2009年に設立した企業。14年には経営破たんしたフォルクス造船所も吸収合併した。バルト海沿岸のヴィスマール、ヴァーネミュンデ、シュトラールズントに造船所を持ち、従業員は1,400人。同社は現在、受注がほとんどない状態で、現状では今夏にも生産停止に追い込まれる。
ユスホフ氏はロシアの砕氷船需要を見込んでノルディック・ヤーズを設立したが、同国に対する欧米の制裁で経済が悪化したため、受注が入らない状況だ。
ゲンティンは子会社ゲンティン香港を通してクルーズ事業を展開している。同事業を拡大したい考えだが、クルーズ船を建造できる独マイヤー造船所や伊フィンカンティエリはすでに多くの受注を抱えており、発注しても受け取りまでに長い時間がかかる。ゲンティンはこうした状況を受けてノルディック・ヤーズを買収。クルーズ船を建造させる考えのようだ。昨年末にも独ブレーマーハーフェンのロイド造船所(従業員400人)を買収した。