貯蓄銀行(Sparkasse)の上部団体である独貯蓄銀行・振替銀行連合会(DSGV)は15日、振替口座(Girokonto)の管理手数料を引き上げる方針を明らかにした。市中銀行が余剰資金を中銀に預け入れる際の金利である中銀預金金利を欧州中央銀行(ECB)がマイナスに設定し市中銀の経営を圧迫していることに対応した措置。DSGVのファーレンショーン会長はECBの低金利政策を無用で誤ったものだと批判したうえで、「サービスに対してはそれに見合った適正な料金を設定しなければならない」と述べ、理解を求めた。
市中銀行は通常、振替口座の手数料を実際のコストよりも低く設定している。新規顧客を獲得したうえで他の金融商品を売り込み、利益を稼ぐという事業モデルを採用しているためだ。
だが、ECBが中銀預金金利をマイナスにしたことで、この事業モデルが成り立たなくなっている。市中銀の純金利マージンが縮小しているためだ。ECBは10日の定例政策理事会で中銀預金金利のマイナス幅を従来の0.3%から0.4%に拡大することを決めており、貯蓄銀はコスト吸収能力の限界に達したと判断。振替口座手数料の引き上げに踏み切る。手数料の額は各貯蓄銀が自らの判断で決定する。預金へのマイナス金利適用は回避する意向だ。
中銀預金のマイナス金利を企業顧客に転嫁する貯蓄銀行はこれまでもあったが、今後は個人顧客も負担を求められることになる。