高級車大手の独BMWが電気自動車(EV)やハイブリッド車(HV)開発の中核的な社員4人を中国企業に引き抜かれたことが分かった。現地メディアなどが報じたもので、中国のインターネット大手テンセントと台湾の鴻海(ホンハイ)が新設した合弁会社フューチャー・モビリティに移籍した。BMWの広報担当者は『南ドイツ新聞』の問い合わせに「わが社の人事政策はそうした事態に対応できる」と回答したものの、トップレベルの開発要員を失った痛手は大きいとみられる。
フューチャー・モビリティに引き抜かれたのはプラグインハイブリッド車「i8」の開発を担当したカルステン・ブライトフェルト氏、技術者のディルク・アーベントロート氏、デザイン主任のベノイト・ヤコブ氏、製品管理主任のヘンドリック・ヴェンダース氏の4人。
中国紙『21世紀ビジネス・ヘラルド』によると、フューチャー・モビリティはEVの開発会社で、本社所在地はテンセントと同じ深センにあるものの、開発は台湾とミュンヘンで行う。ブルームバーグ通信は、米シリコンバレーに開発拠点を設置し中国で生産すると報じている。
中国企業はこれまで、外国企業との合弁事業を通して技術を獲得してきた。好待遇を条件に優秀な人材を引き抜くフューチャー・モビリティの手法は新技術開発の手間とコストを大幅に省けるため、他の中国企業にも広がる可能性がある。