UBS―欧州事業の統括拠点をフランクフルトに選定か―

スイスの大手銀行UBS(チューリヒ)が同国以外の欧州事業の統括拠点「ヨーロッパ銀行」を独フランクフルトに開設するとの観測が浮上している。『ノイエ・チューリヒャー・ツァイトゥング』紙が消息筋の情報として報じたもので、非公式ながらすでに決定を下したという。

欧州連合(EU)は金融危機の再発防止に向けて3本柱からなる「銀行同盟」の構築を推し進めており、すでに銀行監督の一元化と銀行破綻処理の一元化を実現。2024年には預金保証も一元化し完成させる予定だ。

ヨーロッパ銀行はこれを踏まえてUBSが新設するもの。UBSではこれまで、欧州11カ国の各子会社が銀行免許を取得するとともに、自己資本規制を満たさなければならなかった。銀行監督の一元化により、そうした子会社のうち1社にのみ銀行免許を持たせ残りを支店に切り替えることが可能になったことから、UBSはヨーロッパ銀行を設立する。年およそ1億ユーロのコスト削減効果を見込む。

ヨーロッパ銀行の開設候補地にはフランクフルト、ルクセンブルク、ロンドンの3都市が上がっていた。だが、英国のEU離脱が決まったことでロンドンは脱落したという。

UBSは独コメルツ銀行(本社フランクフルト)のブレシング前頭取を9月1日付で取締役会に招へいする。ブレシング氏はUBSでスイス国内の業務を担当するものの、将来的にヨーロッパ銀行の責任者になるとの観測がある。

ブレシング氏はフランクフルトの金融業界・当局に太いパイプを持つことから、UBSがヨーロッパ銀行を同市に開設するとの憶測を呼んでいる。

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