ドイツ取引所(取引所)―合併計画を株主がかろうじて承認―

ドイツ取引所(フランクフルト)は7月29日、ロンドン証券取引所との合併計画を63.65%の賛成で株主が承認したと発表した。同取引所は26日17時の時点で同60.35%が賛成し承認ハードルである60%を超えたことを明らかにしていたが、同日24時の期限までに新たに受け入れた株主は3.3%と少なく、計画反対の株主が多いことが浮き彫りになった格好だ。

両取引所は3月に合併合意。5月になって合併計画の是非をめぐる株主の決定を7月に行うことを明らかにした。欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)の是非を問う英国民投票(6月23日)の結果を踏まえて株主が判断できるよう配慮してのことだ。ドイツ取引所のケンゲーター社長はその際、ブレグジットはあり得ないと強調。英国はEUにとどまり合併計画に支障は出ないとの見方を示していた。

ロンドン証券取引所は7月4日の臨時株主総会で合併計画を承認した。賛成は99.9%に達した。

一方ドイツ取引所の株主の間には、ブレグジットが確実になったことで、合併計画への疑念が高まっていた。EUの規制が届かなくなる英ロンドンに合併後の新会社の本社を置く計画に対しドイツやEUの政治家から強い懸念が出ており、計画を変更しない限り独・EU当局の承認を得られないとみられるためだ。

同取引所はこうした事情を踏まえ11日、有価証券法21条に定められた権利を行使して株主による承認のハードルを当初の75%から60%へと引き下げた。このため同条の規定により、株主の受け入れ表明期限も当初計画の12日から26日へと延長された。

ドイツ取引所は今回、最低目標としていた60%の株主の承認を得たことから、法律の規定により新たに2週間(8月12日まで)の追加買い取りを実施する。

今後は当局の承認を得られるかが注目される。新会社の本社をロンドンに一本化する計画を変更するかが最大の焦点となりそうだ。

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