エネルギー大手の独エーオン(エッセン)が10日発表した2016年1-6月期(上半期)決算の純損益は30億3,400万ユーロの赤字となり、前年同期の黒字(11億4,900万ユーロ)から大幅に悪化した。1月1日付で法的に分離した火力発電子会社ユニパーで巨額評価損を計上したことが響いた。タイセン社長は16年12月通期の純損失も赤字となり、3期連続で赤字となる見通しを明らかにした。
売上高は11%減の202億5,400万ユーロ、営業利益(EBIT、調整済み)は6%減の20億100万ユーロだった。
ユニパーは電力、天然ガス価格の下落で業績と事業見通しが悪化しており、エーオンは今回、同子会社の石炭発電所とガス貯蔵施設で評価損29億ユーロを計上。さらに9億ユーロの引当金も積み立てた。今回の評価替えでユニパーの簿価を約120億ユーロに引き下げた。
エーオンはユニパーの新規株式公開(IPO)を9月に予定しており、保有株53%を売り出す考え。IPO後の株価次第では同子会社の時価は一段と低下する恐れがある。アナリストらは同社の時価を50億ユーロ程度とみている。公開益は原子力発電所の廃炉と放射性廃棄物の最終保管費用に充てる計画だ。