リンデ―米同業プラクスエアとの合併交渉打ち切り―

工業ガス世界2位の独リンデは12日、同3位の米プラクスエアとの合併交渉を打ち切ったことを明らかにした。両社の合併には原則的に戦略的な意義があるものの、ガバナンスなどの詳細で意見の相違が埋まらないため破談になったと説明している。合併が仮に実現すれば、仏エア・リキードを抜いてダントツの世界最大手となる見通しだった。

両社は合併交渉の事実を8月中旬に発表していた。リンデは欧州、アジア市場に強く、プラクスエアは南北アメリカ大陸市場に強い。米国市場でもプラクスエアがボンベ入りガスと液化ガス、リンデが医療用ガスに強いなど両社の事業は補完性が高く、合併交渉は市場で高く評価されていた。

破談の具体的な理由は明らかにされていない。リンデはヴォルフガング・ビュヒェレ社長と監査役会の経営側代表が交渉継続に反対し打ち切りを決めた。

メディア報道によると、合併後の本社所在地をめぐる議論が決定的な障害となったもようだ。新会社は社名をリンデとするものの、本社所在地はリンデの本社がある独ミュンヘンでなく英ロンドンないしオランダ、アイルランドとする方向で議論がなされていたという。リンデの地元であるバイエルン州のイルゼ・アイグナー経済相は8月の時点で州外への本社移転をけん制しており、これが影響した可能性がある。

工業ガス業界では価格競争が激しく、エア・リキッドは今春、業界5位(当時)の米エアガスを買収し市場シェアを約25%に拡大。最大手としての地位を強化した。リンデとプラクスエアが合併するとシェアが約40%となり、エア・リキッドを一気に抜き去る見通しだった。

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