欧州連合(EU)の欧州委員会は9月28日、ドイツ取引所とロンドン証券取引所(LSE)グループの合併計画について、EU競争法に基づく本格調査を開始したと発表した。両者の経営統合を認めた場合、欧州における清算事業やデリバティブ(金融派生商品)取引などの分野で公正な競争が阻害される恐れがあると判断した。欧州委の発表を受け、LSEグループは同日、傘下の清算機関LCHクリアネットの仏部門を売却する方向で検討していることを明らかにした。欧州委が問題視している清算事業について、早い段階で資産売却の意向を打ち出すことで、迅速に合併承認を得る狙いがある。欧州委は来年2月13日までに承認の是非を判断する。
ドイツ取引所とLSEグループは今年3月に合併合意した。ドイツ取引所は清算機関のクリアストリームやデリバティブ取引所のユーレックスなどを傘下に置き、欧州最大規模の清算機関であるLCHクリアネットを保有するLSEグループとの合併が実現すると、売上高で世界最大の取引所グループが誕生する。両者は8月24日付で欧州委に合併計画を申請した。
欧州委は予備調査の結果、両取引所の統合を認めた場合、債権などの清算事業、デリバティブ取引、先物・オプション取引、レポ取引、株価指数のライセンス事業など、幅広い分野で競争が阻害される可能性があると判断。最大90営業日におよぶ本格調査に着手した。