半導体集積回路(LSI)の次世代微細化技術として有望視されている極端紫外線リソグラフィ(EUVL)システムが数年後に実用化される見通しだ。独光学大手ツァイスのミヒャエル・カシュケ社長が『フランクフルター・アルゲマイネ』紙に明らかにしたもので、商業利用は2018~19年に始まり、20年には同システム由来のチップセットが市場に出回るとの見方を示した。家電やIT機器、自動車、など様々な機器の高性能化、低電力化、低コスト化につながることから、モノのインターネット(IoT)化が加速するとみられる。
ツァイスはレーザー大手の独トルンプ、半導体製造装置(ステッパー)製造大手の蘭ASMLと共同でEUVLを開発している。
半導体回路の線幅はすでに20ナノメートル(nm)まで微細化されている。ただ、現在主流の液浸リソグラフィシステムでは大幅な微細化が難しい。光源の波長が193nmと長いためだ。極端紫外線を用いるEUVLシステムは同13.5nmにとどまることから、微細化を推し進めることができる。
ツァイスはトルンプ、ASMLとの開発提携で、光源の光をマスクの方向に変化させる反射ミラーの開発を請け負っている。同ミラーは表面が極めて平坦でなければならず、加工が難しい。
カシュケ社長はEUVLシステムの商業化により、チップの生産コストが20~50%低下するとの見方を示した。ツァイスの半導体業界向けシステム事業の売上高については現在の年10億ユーロから倍増するとみている。EUVL用ミラーの開発で取得した研磨技術は眼鏡など他の分野にも応用する考えだ。