トラックの運転手が薬物を摂取していることが分かった場合、雇用主は即時解雇することができる――。最高裁の連邦労働裁判所(BAG)が20日の判決(訴訟番号:6 AZR 471/15)でそんな判断を示したので、ここで取り上げてみる。
裁判はトラック運転手が雇用主を相手取って起こしたもの。同運転手は非勤務日だった2014年10月11日(土)、覚醒剤であるメタンフェタミンとアンフェタミンをともに摂取した。週明けの13日(月)から勤務し、14日に警察のコントロールで薬物反応が出た。
これを受け雇用主は即時解雇を通告した。これに対し原告は、覚醒剤の摂取は運転能力に影響をもたらさなかったと主張。解雇無効の確認を求めて提訴した。
原告は1審と2審で勝訴したものの、最終審のBAGで逆転敗訴した。判決理由でBAGの裁判官は、職業運転手の覚醒剤摂取がもたらす危険性を2審のニュルンベルク州労働裁判所は十分に検討しなかったと指摘。摂取が実際の運転に影響したかどうかは重要な問題でないとして、解雇は妥当だとの判断を示した。摂取したのが勤務時間中だったのか勤務時間前だったのかも意味のない区別だとしている。