ドイツ政府は11日の閣議で、給与の透明性向上に向けた法案を了承した。女性の給与が男性に比べて低い現状の是正が狙い。同法案は連邦議会(下院)の可決を経て施行される見通しだ。
連邦統計局によると、女性の給与水準は現在、男性を21%下回っている。女性はパート勤務や給与水準の低い社会福祉関係の仕事に就く人が多いほか、管理職に就く人が少ないという事情があるものの、そうした要因を除いても男性の給与水準を7%下回っている。給与格差が生まれる背景には、職場の同僚の給与水準を知ることができないという問題があることから、政府は今回の法案で給与の透明性を高める考えだ。
具体的には同等の仕事をする同僚グループの平均給与(ボーナス、社用車の供与を含む)について知る権利を、被用者に認める。対象となるのは従業員数200人超の企業で、約1,400万人が権利を得ることになる。
労使協定賃金が適用される企業では従業員の代表機関である事業所委員会(Betriebsrat)を通して自らが属する同僚グループの平均給与を知ることができる。事業所委と協定賃金がない企業では被用者が雇用主に直接、問い合わせることになる。
企業は給与体系を定期的に見直すことも義務づけられる。また、従業員数500人超の資本企業は3~5年に一度、給与体系に関する報告書を公開しなければならない。同報告書ルールが適用される企業は約4,000社に上る見通しだ。