独自動車大手フォルクスワーゲン(VW)のヨッヘン・ハイツマン取締役(中国事業担当)は19日、自動車販売台数の一定比率以上をエコカーとすることをメーカーに義務づける中国政府の法案をめぐって同国の当局と交渉していることを明らかにした。VWなどの外国企業に不利なルールの導入を回避する狙いだ。
同政府は各社が販売する自動車の8%以上を電気自動車(EV)ないしプラグインハイブリッド車(PHV)とするルールを2018年から導入する計画。同比率が8%以上の企業には転売可能なポイントを供与する。一方、エコカー(EVとPHV)の販売台数が相対的に少ない企業は同比率規制を順守するために非エコカーの販売台数を減らすか、8%規制を達成した企業からポイントを買い取ることで非エコカーの販売台数を維持するかの選択を迫られることになる。
VWグループの昨年の中国販売台数(約400万台)をもとに計算すると、同社はエコカーを32万台以上、販売しなければならなくなる。だがVWが昨年、中国で販売したエコカーは数百台に過ぎず、18年も約6万台にとどまる見通しのため、中国での自動車販売台数を大幅に減らすか、ポイントを大量に購入しなければならなくなる。グループ販売に占める同国の割合が約39%に上る同社にとっては大きな痛手だ。
VWはこうした事態を避けるため中国当局に、エコカーの販売台数が少なく8%基準を達成できなくても、翌年以降に同基準を上回れば過年度の不足分を相殺できるルールへの変更を要請している。
このルールであれば非エコカーの販売台数を減らすことも、競合からポイントを買い取ることも回避できる。VWは同国でエコカーの販売攻勢を計画しているためだ(計画台数は20年が40万台、25年が150万台)。
ただ、同国政府がVWの要請を受け入れるかは不明。ハインツ取締役は当局の反応について明言を避けた。