欧州の複数のトラックメーカーが大・中型トラックの販売で違法なカルテルを結んでいた問題で、被害を受けたドイツの物流企業や自治体がシュツットガルト地方裁判所に損害賠償請求訴訟を起こしたことが分かった。日刊紙『フランクフルター・アルゲマイネ』が同地裁の広報担当者から確認を得た情報として19日、報じたもので、訴訟件数は現在6件に上るという。
同カルテルに参加していたのはMAN(独)、ボルボ/ルノー(スウェーデン/仏)、ダイムラー(独)、イベコ(伊)、DAF(蘭)、スカニア(スウェーデン)の6社(グループ)。欧州連合(EU)の欧州委員会はこのうちMANとスカニアを除く4社に昨年7月、総額29億2,650万ユーロの制裁金支払いを命じた。内訳はダイムラーが10億877万ユーロ、DAFが7億5,268万ユーロ、ボルボ/ルノーが6億7,045万ユーロ、イベコが4億9,461万ユーロ。MANは最初に通報したため、制裁を全額免除された。スカニアは捜査が未終了のため制裁額が確定していない。
6社は1997年から2011年にかけてカルテルを結び、販売価格を取り決めていた。また、EU環境規制に対応した排ガス処理システムの導入時期と、同システムのコストを顧客に転嫁することを申し合わせていた。
シュツットガルト地裁の損賠訴訟は捜査未終了のスカニアを除く5社を対象としている。MANは制裁金を免除されたものの、被害者の損賠請求権がそれによって消滅することはない。