独経常黒字を米政府が批判、メルケル首相は反論

米トランプ大統領が新設した国家通商会議のピーター・ナバロ委員長は1月31日付の英『フィナンシャル・タイムズ』紙で、ドイツは大幅なユーロ安を利用して巨額の経常黒字を不当に獲得していると批判した。トランプ政権は米国の経常赤字解消を主要な政策課題に掲げており、ドイツに矛先を向けた格好だ。これに対し独メルケル首相は同日、ドイツの経常黒字は競争力のある製品と公正な競争を通して世界市場で生き残ろうとするドイツ企業の努力の結果だと反論。また、ドイツ政府が欧州中央銀行(ECB)の政策に介入してユーロ安を誘導することはできないし、そのつもりもないと明言した。

Ifo経済研究所によると、ドイツの経常黒字は昨年、2,970億ドル(推定)に達し、中国(同2,450億ドル)を抜いて世界1位となった。国内総生産(GDP)に対する比率は8.6%で、前年の8.3%から上昇した。欧州連合(EU)の欧州委員会は同比率で6%超が持続すると域内の経済的な安定が損なわれるとしているが、ドイツは5年連続で6%を上回っている。

一方、米国は世界最大の経常赤字国で、昨年の赤字幅は4,780億ドルに達した。貿易収支で巨額の赤字を計上。特に対アジアで同赤字幅が大きい。対ユーロ圏も赤字で、その半分をドイツとの取引が占めている。

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