自動車シート大手の独グラマー(アムベルク)は14日、中国の車両内装部品メーカー寧波継峰汽車零部件と戦略提携する計画を発表した。中国市場の開拓を加速するとともに、筆頭株主のハスター家による会社乗っ取りを阻止する狙いだ。
寧波継峰汽車零部件は今回の提携により、グラマーの転換社債を6,000万ユーロで引き受ける。同社債は発行後1年以内に株式に転換されることから、寧波継峰汽車零部件はグラマーに約9.2%出資することになる。グラマー経営陣はこれにより、社長解任と監査役の大幅入れ替えを要求するハスター家に対抗していく。
ハスター家は傘下の独投資会社2社を通してグラマー株を20%以上、保有。グラマーの利益率が低下しているとして現経営陣を批判している。
ハスター家傘下のサプライヤー、プリベント・グループは昨年、自動車大手フォルクスワーゲン(VW)への部品供給を拒否し、VWの生産ラインを停止させた。ダイムラーに対しても訴訟を起こしている。
このため自動車メーカーはハスター家に強い警戒感を持っており、同家がグラマーを乗っ取ることを望んでいない。グラマーによると、寧波継峰汽車零部件との今回の提携合意は顧客メーカーから歓迎されているという。
寧波継峰汽車零部件は1996年の設立で、ヘッドレストやアームレストを製造している。従業員数は2,600人。上海市場で株式を公開しており、時価総額は10億ユーロを超える。