経営不振の独太陽電池大手ソーラーワールド(ボン)は10日、経営資源を単結晶シリコン製品分野に絞り込む方針を明らかにした。単結晶シリコン製の太陽電池は発電効率が高く寿命も長いことから競争力を保つことができると判断。発電効率の低い多結晶製品の生産は年内に停止する。
コストも削減する考えで、独アルンシュタット工場とフライベルク工場の生産品目をそれぞれセルとモジュールに集約し、規模の効果を引き出していく。これまでは両工場でセルとモジュールをともに生産してきた。
今回打ち出した事業再編に伴い、2019年までに従業員(計3,300人)を400人、削減する。
ソーラーワールドが同日発表した2016年暫定決算のEBITDA(利払い・税金・減価償却・償却控除前利益)は2,600万ユーロの赤字となり、前年の黒字(4,100万ユーロ)から悪化した。太陽電池価格の大幅下落のほか、今回打ち出した事業再編の費用1,200万ユーロを計上したことが響いた。
EBIT(利払い・税引き前利益)では赤字幅が前年の400万ユーロから9,900万ユーロへと大きく膨らんだ。固定資産で2,500万ユーロの評価損を計上し、水準が一段と押し下げられた。
製品販売量は1,375メガワット(MW)で19%増加。売上高も5%増えて8億300万ユーロとなった。
17年は売上高で横ばい、EBITで赤字幅の縮小を見込む。
16年末時点の流動資産は8,800万ユーロで、15年末の1億8,900万ユーロから半分以下に減少した。金融市場調査会社ヴァールブルク・リサーチのアナリストは『ハンデルスブラット』紙に、「ソーラーワールドは2019年までに流動資産を少なくとも4,000万ユーロ使用しなければならない」と指摘。昨年末時点の流動資産の額は「懸念を抱かせるほど低い水準だ」として、経営の先行きは厳しいとの見方を示唆した。
同社は19年までに総額3億5,000万ユーロの債務を返済しなければならず、経営再建が計画通りに進まなければ、債務の返済や借り換えをできなくなる恐れがある。