化学大手の独エボニック(エッセン)は8日、魚の油に多く含まれているオメガ3脂肪酸のエイコサペンタエン酸(EPA)とドコサヘキサエン酸(DHA)を海藻から量産するための合弁会社を、蘭同業のDSMと共同で設立すると発表した。まずはサケの餌料向けを手がけ、将来的には他の魚や家畜向けにも手を広げていく考えだ。餌料・飼料用のEPA、DHAを世界で初めて魚油を使わずに量産する。
折半出資の合弁会社ヴェラマリス(Veramaris)をオランダに開設するとともに、商業生産施設を米国にあるエボニックの工場敷地内に建設し、2019年から製造を開始する。両社合わせて約2億ドルを投資する。
EPAとDHAは人間や家畜、魚の健康維持に欠かせない物質で、現在は魚から生産されている。世界の生産量は年100万トン。生産量をさらに増やすと魚資源が減少する恐れがあることから、需要の拡大に対応するためには魚に代わる原料の供給源開発が必要となっている。
両社はこれを踏まえ2015年7月、海藻由来のEPA、DHA製品と製造プロセスの開発で合意。米サウスカロライナ州キングスツリーにあるDSMの工場でサケ用製品の少量生産に成功した。合弁ヴェラマリスの設立により「魚ベースの資源を投入することなしにサケを養殖するというビジョンが初めて実現する」と意義を強調している。