メルク―バイオシミラー事業売却へ―

製薬・化学大手の独メルク(ダルムシュタット)は9日の決算発表で、バイオシミラー(バイオ医薬品の後続品)事業の売却計画を明らかにした。製薬分野の経営資源を特許薬に絞り込む考え。すでに売却交渉を進めており、極めて進展した段階に達しているという。

メルクは2012年、インドの後発医薬品大手ドクター・レディーズ・ラボラトリーズと提携し、バイオシミラー事業へと参入。14年にはブラジル企業3社と共同でバイオシミラーを現地生産することも取り決めた。製品販売には至っていないものの、開発パイプラインが充実しており、同事業の時価は最大10億ドルに達するとみられている。

それにもかかわらず同事業を売却することについてシュテファン・オシュマン社長は、12年当時は特許薬のパイプラインが乏しかったことを指摘。同パイプラインが充実している現在、経営資源をバイオシミラーに振り向け続けることは得策でないとの立場を示した。

16年12月期決算の純利益は前期比46.1%増の16億2,900万ユーロと大幅に拡大した。希少病であるフェニルケント尿症(PKU)の治療薬「クバン(Kuvan)」を売却したことで水準が押し上げられた格好。

売上高も17.0%増の150億2,400万ユーロと大きく伸びた。試薬大手シグマ・アルドリッチを買収したことが背景にあり、内部成長ベースの増収率は3.2%だった。営業利益(EBITDAベース、特別要因を除く)は23.7%増の44億9,000万ユーロで、売上高営業利益率は前期の28.3%から29.9%へと上昇した。

17年12月期は内部成長ベースの売上高で微増ないし緩やかな増加、EBITDA(同)で横ばいを見込む。

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