ドイツ連邦統計局が3月30日発表した2017年3月のインフレ率(速報値)は前年同月比で1.6%となり、前月の同2.2%から0.6ポイント縮小した。エコノミストらは今後の見通しとして「年内は2月の水準を超えないだろう」との見方でほぼ一致している。
3月のインフレ減速の主因は、原油安に加え、南欧の天候不順による青果物の高騰が和らいだことにある。今年は復活祭(イースター)が4月中旬となり、例年3月の旅行シーズンが4月にずれ込んだという事情もある。
今後の価格変動について専門家は原油相場や賃金の動向にもよるが、年内は2月実績の2.2%を超えず、マイナス(デフレ)に陥ることもないとみている。インフレが加速しない理由としては、現在のインフレ要因が前年の原油安からきており、その効果が今年6月以降弱まることを挙げる。
石油、ガソリン、暖房油は、インフレ率算出において約20%の大きな比重を占める。3月の原油価格は前月比で6%以上低下し、前年同月比の値上がり幅は2月の7.2%に対して5.1%にとどまった。
なお、ドイツのインフレ減速でユーロ圏の3月インフレ率も前月の2.0%から1.5%に低下したため、ゼロ金利見直しに向けた欧州中央銀行(ECB)への圧力も弱まっている。