家電大手の独BSHハウスゲレーテ(ミュンヘン)がデジタル家電のネットワーク化を進めている。同社は2010年に台所の家電をネットワークで結び遠隔操作できる「ホームコネクト」というプラットフォームを立ち上げたほか、最近ではジェスチャーで操作する新技術を導入しようとしている。また、オープン戦略に基づき他社と連携することでデジタル家電製品のネットワーク化において主導権を握ることも目指している。
同社は16年末から、音声コントロールのアマゾン・アレクサ(Alexa)の技術を利用してホームコネクト上でコンロと洗濯機などの家電を音声で操作できるようにしている。音声に加え、ジェスチャーで台所製品を操作する「Maykie」という新たなコンセプトを開発中だ。Mykieについては年末までに市場投入の決定を下すとしており、台所の家電製品の操作や冷蔵庫に入った食品のコントロール、音声による調理法の案内などが可能になる。
BSHのオッテンベルグ社長はデジタル戦略を自社で進めることを重視しながらも、自社のプラットフォームであるホームコネクトをオープン化することで他社との協力も進める方針だ。15年には米シスコシステムズ、スイスの重電大手ABBとオープンプラットフォームに関する合弁会社も設立した。
デジタル技術の開発には多大のコストがかかる。同社の研究開発費は5億7,000万ユーロと売上高に対する比率は4.4%に達している。しかしネット接続製品にはまだ伸びしろがあることから、オッテンベルグ社長は今後3~4年でさらに成長するとの期待を示す。
同社の16年売上高は前年比3.5%増の131億ユーロに拡大した。業界最大手の米ワールプールやスウェーデンのエレクトロラックスは減収だった。BSHの欧州市場におけるシェアは25%で1位、世界市場ではワールプールに次ぐ2位となっている。17年には米ゼネラルエレクトリック(GE)の家電部門を買収した中国のハイアールが上位に入ってくるとみられている。