中国化工のシンジェンタ買収、欧州委が条件付で承認

欧州連合(EU)の欧州委員会は5日、中国化学大手の中国化工集団(ケムチャイナ)が農薬世界最大手のシンジェンタ(スイス)を買収する計画を承認したと発表した。中国化工が欧州で展開している農薬、植物成長調整剤事業の多くを手放すことが条件となる。

国営企業のケムチャイナは2016年2月、シンジェンタを430億ドルで買収すると発表。8月に欧州委に買収認可を申請した。実現すれば、中国企業による海外企業買収としては史上最大の案件となる。

これについて欧州委は10月、同買収によって欧州の農薬市場で寡占化が加速し、価格上昇などの弊害が生じる恐れがあるとして難色を示し、本格的な調査を開始した。とくにケムチャイナのイスラエル子会社で、ジェネリック農薬大手のアダマ・アグリカルチュラル・ソリューションズとシンジェンタの事業が重複していることを問題視していた。

ケムチャイナは欧州委の懸念に対応するため、アダマが欧州で手がける殺菌剤、除草剤、殺虫剤事業、成長調整剤事業の大半と、開発段階にある29種類のジェネリック農薬を手放すことを提案。欧州委は同措置によって競争上の懸念が払しょくされるとして、その実施を条件に買収を認可した。

シンジェンタは6月末までの買収手続き完了を目指している。同買収は4日、米連邦取引委員会(FTC)からも一部の農薬事業の売却を条件に認可されており、実現に向けて大きく前進した。

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