謀略を働いた被用者の即時解雇は妥当

謀略を働いた被用者を即時解雇することは妥当だ――。そんな判断を最高裁の連邦労働裁判所(BAG)が1日の判決(訴訟番号:6 AZR 720/15)で示したので、ここで取り上げてみる。

裁判は業界団体の事務局長が同団体を相手取って起こしたもの。同事務局長は会長の出張費などをめぐって同会長と対立していたことから、会長の解任を水面下で画策した。この事実を知った会長は2013年9月25日に幹部会を開き、事務局長から事情を聴取。会長は10月7日付の文書で即時解雇と解雇予告期間を設定した通常解雇を事務局長に通知した。即時解雇だけでなく、通常解雇も通知したのは、即時解任が仮に無効になっても解雇を貫徹するためである。

原告事務局長はこれを不当として提訴したものの、敗訴した。判決理由でBAGの裁判官は、原告事務局長が行った行為は協働に必要な信頼関係を破壊するものであり、職場の雰囲気・環境を著しく損なったと指摘。これは民法典(BGB)626条1項に記された即時解雇を正当化する「重大な理由」に当たると言い渡した。

そのうえで、即時解雇はその理由となる事実を解雇通告者が把握してから2週間以内に通告しなければならないとしたBGB626条2項の規定を指摘。下級審の審理では会長(解雇通告者)が解雇理由となった事務局長の行為(会長解任の画策)をいつ正確に把握したかが明らかにされていないとして、裁判を二審のザクセン州労働裁判所に差し戻した。同州労裁に対し、9月25日の事情聴取で会長が解雇理由の事実を正確に把握したかどうか、つまり事務局長に見解表明の機会が与えられたかどうかを解明したうえで判決を下すよう指示した。

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