家畜に投与される抗生物質の量がドイツで大幅に減少している。連邦消費者保護・食品安全庁(BVL)の発表によると、製薬会社ないし医薬品卸から獣医に引き渡された抗生物質の量は昨年742トンとなり、前年比で8%減少。統計を開始した2011年(1,706トン)に比べると56.5%も少なくなった。抗生物質の投与削減を狙った薬事法の改正が奏功した格好だ。
鶏や豚を大量に飼育する鶏舎/畜舎で感染症や伝染病が発生すると、群れ全体が感染する恐れがあるため、抗生物質を混ぜた餌が与えられている。この結果、薬剤が効かない耐性菌が発生しやすく、環境・自然保護連盟(Bund)が実施した検査では、スーパーで販売される鶏肉の半数以上から耐性菌が検出された。免疫力が低下した病人などが耐性菌に感染すると治療が困難なため、政府は事態を深刻視。薬事法改正案を作成し、議会で可決させた。
11年比の減少幅が最も大きかった抗生物質はテトラサイクリンで、564トンから193トンへと371トンも少なくなった。これにペニシリンが249トン減で続く。(表を参照)
