特殊化学大手の独エボニック(エッセン)は16日、独ルール地方のマールにポリアミド12(PA12)の生産施設を建設すると発表した。急速に拡大する需要を取り込むとともに安定的に供給できるようにする狙いで、同社の生産能力を50%以上、拡大することになる。投資額は4億ユーロで、同社がドイツに投じる資金ではこれまでで最高となる。
PA12は軽量で安定性、耐熱性に優れた樹脂。これまで金属が使われていた分野への投入が増えており、自動車やガス・石油パイプラインなどで使用される。近年は3Dプリンターの造形材料としても需要が拡大している。
同社によると、世界需要は年5%以上のスピードで伸びており、3Dプリンター向けに限ると成長率は2ケタ台に上る。
エボニックは世界に4社あるPA12の最大手メーカー。新工場は2021年初頭の操業開始を予定している。
『ハンデルスブラット』紙によると、同社は米国ないしシンガポールにPA12の新工場を建設することも検討したが、最終的にマールに白羽の矢を立てた。マールにはすでにPA12工場があり専門人材が多くそろっているうえ、原料の供給を近隣のゲルゼンキルヒェンにあるクラッカーから低コストで受けることもできることから、同地を選定した。