電機大手の独シーメンス(ミュンヘン)は6日、ノルウェーの国営鉄道インフラ運営会社Bane NORから同国鉄道インフラのデジタル化を受注したと発表した。受注高はメンテナンスも含めて約8億ユーロで、シーメンスが鉄道インフラ分野で獲得した額としては過去最大となる。
総延長4,200キロに上る同国の全鉄道網に欧州統一列車制御システム「ETCSレベル2」に対応した信号システムを設置する。これにより鉄道の安全性、定刻性、輸送能力が高まる。同信号システムの制御はオスロの中央管理拠点で一括して行う。
まずは2022年に北部のヌールラン線で新信号システムが稼働。26年にはオスロ圏にも導入され、34年には全国設置が完了する。シーメンスはメンテナンスを22年から25年間、引き受ける。
欧州の鉄道は各国で個別に構築されてきたことから、車両や線路の規格、電化方式、信号システムが国によって異なる。このため国境を超えるたびに機関車を交換する必要がある。欧州統一の列車制御システムであるETCSを導入することで、そうした手間を省けるようになり、鉄道輸送の迅速化とコスト削減につながる。