ソーラーワールド―再び経営破たん―

太陽電池製造の独ソーラーワールド・インダストリーズは3月28日、会社更生法の適用を地元ボン区裁判所に申請したと発表した。経営破たんは2度目。同社は高価格帯製品に特化していることから、価格競争の激化に対応できなくなっており、再建できるかは不透明だ。

ソーラーワールドはかつてドイツのソーラー業界の看板企業で、同社のフランク・アズベック社長は「太陽王」とも呼ばれていた。だが、中国製品による価格破壊が原因で業績が悪化。数年に及ぶ赤字の末、昨年5月に経営破たんした。

アズベック氏はその後、カタール政府が出資するカタール・ファンデーションと共同で、ソーラーワールド・インダストリーズを設立。ソーラーワールドの破産財団から独東部のアルンシュタットとフライベルクにある工場を買収し、再生を目指した。

同社製品は価格が高いものの、品質が良いため一般世帯向けの販売は堅調だが、メガソーラーを手がける事業者は価格に敏感なため採用しないケースが多いという。

中国製太陽電池に対しては欧州連合(EU)が反ダンピング措置を適用しているものの、欧州業界団体プロサンによると、「スイス産チーズのように穴だらけ」で、効果がないという。また、同措置は9月に失効する見通しのため、欧州メーカーが置かれている状況は厳しい。アルンシュタットの地元テューリンゲン州のヴォルフガング・ティーフェンゼー経済相はソーラーワールドの今回の経営破たんを受けて、「太陽電池セル、モジュールをドイツで経済的に生産するという希望は消え去った」と明言した。

ただ、太陽電池メーカーがドイツから完全になくなると、研究開発に大きな支障が出ることから、研究者は同社の倒産を懸念している。フラウンホーファー太陽エネルギーシステム研究所のアンドレアス・ベット所長は「国内に工場がなくなれば、我々は今後数年で中国に依存するようになるだろう」と述べた。

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