独高級車大手ダイムラー(シュツットガルト)の筆頭株主である浙江吉利控股集団の李書福会長は『フランクフルター・アルゲマイネ』紙への寄稿文で、他社との連携を積極的に推し進めることをダイムラーに要求した。車両の電動・IoT化に向けて急速に変化する自動車業界で生き残るためには提携・協業が不可欠と考えているためで、「われわれ投資家・株主は開かれた議論を通して長期的な利益率を提供できる」と発言。経営陣に対し提案を行っていく意向を示唆した。浙江吉利傘下の自動車メーカー、吉利汽車との協働を働きかける考えとみられる。
李会長は2月、ダイムラー株9.69%を取得し筆頭株主となった。ダイムラーのディーター・ツェッチェ社長はこれについて3月、吉利との協業はすでに戦略提携を結んでいる北京汽車(BAIC)の同意が前提になると発言。3社の利害が一致しなければ吉利との協業はあり得ないとして、吉利との協業に消極的な姿勢を示した。
李会長は寄稿文で、自動車業界で技術共有型のプラットフォーム事業モデルへの移行が進むなかで旧態依然と閉鎖的な経営を行う企業は、競争に勝ち残る数少ない巨大企業に飲み込まれることになると指摘。そうした事態に陥るのを避けるためにはパートナーシップやアライアンスの積極活用が必要不可欠だと強調した。
また、中国企業に対する警戒心が欧米で高まっていることを念頭に、提携・協業では◇知財権の尊重◇各ブランドの個性尊重◇各社の戦略の自律性の尊重◇敵対的な競合関係に陥る事態の回避――が重要だとの認識を示した。