フィンランドが電池セル生産の立地条件アピール

フィンランドは電池セルの有望な生産拠点として同国をアピールしていく考えだ。電池の生産に必要な天然資源がすべてそろっているうえ、電池の生産で大量に用いられる電力の価格も低いためで、ミカ・リンティラ経済相は独『フランクフルター・アルゲマイネ』紙に、「我が国は電池産業クラスラーの構築に必要な素晴らしい前提条件を持っている」と明言。すでに電池生産に向けて投資家と協議していることを明らかにした。

電池は電動車の価値の30~40%を占める。欧州メーカーは現在、その中核部品であるセルをアジアメーカーに依存している。電動車需要が今後、大幅に拡大すると、アジア企業への依存は競争上の大きなマイナス要因となりかねないため、欧州連合(EU)は域内企業が欧州でセルを生産するようになることを強く要望している。

だが、セルの自社生産を検討してきた独ボッシュは工場建設の莫大なコストと事業に失敗した時の痛手を踏まえ、2月に不算入を決定。欧州企業が欧州にセル工場を設置するという構想は実現のメドが立っていない。

セル工場を建設するに当たっては電力コストをいかに抑制できるかが成功の大きなカギをにぎる。製造工程で大量の電力を使うためだ。電力コストが高いドイツは適しておらず、独自動車大手ダイムラーはセルの内製を2015年に打ち切った。

フィンランドには電池原料となるコバルト、ニッケル、リチウム資源がそろっている。また、電力価格も低いことから、電池関係企業は同国に熱い視線を送っている。

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