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猛暑の影響広がる、ライン川で積荷制限 BASFは生産減に

2018年8月8日発行 No.1198号

北半球を襲う猛暑の影響が欧州でも深刻化している。歴史的な干ばつの影響で穀物の作柄は大幅に悪化。河川の水位も大きく低下し、物流にしわ寄せが出始めている。化学大手のBASFは3日、水温上昇を受けてルートヴィヒスハーフェン本社工場の生産能力が低下していることを明らかにした。

欧州は今夏、2003年以来の記録的な猛暑に襲われている。春以降の雨量が極めて少ないこともあり、麦やトウモロコシの作柄が悪化。2日には欧州連合(EU)の今年の小麦収穫量が6年来の低水準に落ち込むとする調査会社の予測発表を受けて、パリの小麦先物取引価格が1トン213ユーロを突破し、5年来の高水準に達した。

ドイツ農業連盟(DBV)は今年の国内穀物収穫量を従来予測の4,100万トンから約3,600万トンへと大幅に下方修正した。小麦については1ヘクタール当たりの収穫量が13~17年平均の8トンから今年は6トンへと25%減少すると予想。国内の収穫量は昨年の2410万トンから1,800万トン弱へと落ち込むとみている。

DBVは存続の危機に立たされている農家もあるとして、ドイツ政府に10億ユーロの支援を要請した。ユリア・クレックナー農相は今月末に出る収穫統計を待って支援の是非を決定する意向だ。独東部ブランデンブルク州は500万ユーロの緊急支援を決定した。

欧州委員会は2日、EU農業補助金の支給開始時期を本来の12月から10月に前倒しする方針を明らかにした。これにより農家の資金繰りを支援する。

河川交通では水位の低下を受けて通行制限の動きが広がっている。独河川交通の約80%を占めるライン川では積荷の重量を積載能力の半分以下に抑制する命令を当局が出した。独水路・水運管理総局の広報担当者はdpp通信に、まとまった雨が今後も降らなければ「河川の一部が通行できなくなる可能性もある」と語った。エルベ川でも通行制限が出ている。ドナウ川では喫水1.5メートル超の船舶が通行できなくなっている。貨物船で通行できるのは空荷のものに限られることから、輸送には使えない状況だ。

船舶の積載量制限を受けてすでに一部の地域では人件費と燃料コストが上昇している。船舶の投入量を増やさなければならないためだ。顧客企業にとっては運送料金上昇の懸念がある。

BASFのルートヴィヒスハーフェン工場は冷却水をライン川から取り込んでいる。水温が高くなるとライン川に戻す冷却水の量が制限されることなどから、生産量を抑制しなければならない状況だ。

同工場では河川を利用して製品を輸送している。ライン川で船舶の積載量が制限されていることもあり、BASFは顧客への供給に支障が出る可能性を排除していない。顧客との間では鉄道やトラックなど他の輸送手段に切り替えることを協議している。同工場では製品の40%を河川輸送していることから、代替輸送の需要拡大の影響は大きく、トラック輸送料金などが上昇する可能性がある。

発電所にも影響

河川の水温が高くなると取水・返水が制限されるのは、魚などの水中生物と生態系を保護するため。水温が高くなると、水中の酸素濃度が低下する。危機的な温度とされる28度の水に溶存する酸素の量は10度の水温の3分の1に過ぎない。暑さに弱いマスやカワヒメマスでは25度を超えると生存が危うくなる。

こうした事情を踏まえ欧州連合(EU)では水枠組み指令に基づき、水温が28度に達した場合は冷却水を河川から摂取することが原則的に制限される。化学工場のほか、発電所も影響を受けており、冷却水をライン川から摂取するフィリップスブルク原発は発電量を10%引き下げている。独北部のグローンデ、ブロクドフル原発や、各地の石炭発電所でも同様の措置が取られている。ただ、電力の需給がひっ迫する場合は、特例措置として発電所の取水・返水制限が解除される。

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