カタールが今後5年で独に100億ユーロ投資

カタールのシェイク・タミーム・ビン・ハマド・アール・サーニ首長は7日ベルリンの投資家会議で、今後5年間でドイツに総額100億ユーロを投資する考えを表明した。具体的にどの分野、どの企業に投資するかは未定だが、液化天然ガス(LNG)の輸出拡大を狙っているのは確実。ロシア産天然ガスへの依存度が高いドイツにとっては調達先国の多元化につながるメリットがあり、会議に参加したアンゲラ・メルケル首相はエネルギーの安定確保につながるとして歓迎の意を示した。

カタールは世界最大のLNG生産国。ドイツ企業の大株主としても有名で、すでにフォルクスワーゲン(VW)、ドイツ銀行、シーメンス、ホーホティーフに出資している。対独投資残高は250億ユーロに上る。今後は中小企業にも投資の対象を広げていく考えだ。

国営石油会社カタール・ペトロリアムのサード・アル・カービ総裁は先ごろ『ハンデルスブラット』紙に、「我々はドイツのLNGターミナル(建設計画)に関心があり、(独エネルギー大手)ユニパー、RWEと協議している」と語った。RWEは、協議はガス供給に関するものであり、ドイツのターミナルへの出資に関するものではない」との声明を出したものの、カタールがLNGの対独輸出拡大を目指しているのは確かだ。同国エネルギー相のモハメド・ビン・サレハ・アル・サダ氏もドイツのLNGターミナル建設支援に意欲を示している。

ドイツに対してはLNGの対欧輸出拡大を目指す米国が圧力をかけている。米トランプ大統領はドイツなど西欧の企業が参加するノルド・ストリーム(ロシア産天然ガスをバルト海経由で輸送するパイプライン)の増設計画を強く批判。欧州連合(EU)のユンケル欧州委員長は7月、米国産LNGの輸入を増やすことで同大統領と合意した。

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