自動車大手の独ダイムラー(シュツットガルト)が10日発表した高級乗用車ブランド「メルセデスベンツ」の8月の販売台数は15万5,918台となり、前年同月を8.5%下回った。販売減は3カ月連続。モデルチェンジのほか、一部市場での認証取得の遅れや、一部ディーゼル車の認可停止が響いた格好だ。1~8月の累計は前年同期比1.1%増の151万2,268台となり、同期の過去最高を更新した。
8月の販売台数を地域別でみると、足元の欧州は10.7%減少。ドイツ本国は14.8%落ち込んだ。北米自由貿易協定(NAFTA)3カ国も19.5%減と振るわず、主力の米国は19.8%後退した。アジア太平洋は1.3%減少したものの、同地最大の中国は5.5%増とプラス成長を確保した。
同社は5月、トランスポーター「ヴィート」のディーゼルエンジン制御システムに違法なソフト機能が搭載されているとして、独連邦陸運局(KBA)からリコール(無料の回収・修理)を命じられた。リコール対象車種はその後、SUV「GLC 220d」とセダン「C 220d」にも拡大。リコール規模は計77万4,000台へと膨らんだ。リコールでは同ソフトを新しいソフトと交換することになる。新ソフトはKBAの認証をまだ受けていないため、リコールは行われていない。
ダイムラーは新ソフトが承認されないとリコール対象となっているモデルを販売できないことから、販売車種が減少。8月の販売減につながった。
EUでは排ガス検査方式が従来の「新欧州ドライビングサイクル(NEDC)」から「世界統一試験サイクル(WLTP)」へと切り替えられた。WLTPをクリアしない車両は9月から新車登録できない。
ダイムラーは大きな労力を費やしてWLTP対応を期限内に完了したものの、そのしわ寄せで北米の新排ガス規制への対応が遅れ、一部のモデルを同地で販売できなくなっている。これも販売減の一因となった。