難民に対する市民の懸念を政府が真剣に受け止めていると考えるドイツ人は49%にとどまり、51%は真剣に受け止めていないと考えていることが、公共放送ARDが6日発表した最新の世論調査で分かった。政府に対する不満は特に強制送還、犯罪対策の分野で強い。
滞在資格を得られなかった難民は本国などに送還されることになっている。だが、実際に送還される難民は少ない。そうした難民による犯罪が殺人を含めて起きていることから、送還を貫徹できない現状に対する不満は強く、アンケートでは83%が「滞在許可を認められなかった難民の送還に成功していない」と回答した。「難民による暴行と犯罪の予防に成功していない」も69%と多い。また、「難民の社会統合に成功していない」は69%に上った。
政府を信頼している市民は43%と過半数に届かなかった。難民をめぐる軋轢が強い東部地区では35%と特に低い。メルケル首相のリベラルな難民政策に対する不満が政府不信の一因になっているとみられる。
一方、難民問題を追い風に勢力を強める右派ポピュリズム政党「ドイツのための選択肢(AfD)」を、国内の反憲法活動を調査する憲法擁護庁(BfV)の監視対象に加えるべきだと考える回答は65%と全体の約3分の2に達した。AfDを支持する有権者は多いものの、同党に懸念を持つ市民の方が圧倒的に多いことがうかがわれる。