監視カメラの撮影画像、速やかに消去しなければならないか

被用者を解雇するかどうかを決定するために雇用主は当該被用者の個人データを収集、加工、利用することができる。これは5月24日まで有効だった旧連邦データ保護法(BDSG)32条1項第1文で認められたルールである。では、収集したデータを雇用主が消去せず、長期間、保管することは認められるのだろうか。この問題を巡る係争で最高裁の連邦労働裁判所(BAG)が8月23日の判決(訴訟番号:2 Sa 192/17)で判断を示したので、ここで取り上げてみる。

裁判はキオスクの女性店員Hが雇用主を相手取って起こしたもの。同キオスクには客の万引と店員の内引き対策として監視カメラが設置されていた。

同キオスクではたばこの売り上げと在庫に大きな食い違いがあることが2016年7月に判明したことから、雇用主は監視ビデオに録画されたデータの分析を8月1日から開始した。この結果、Hが客から受け取った代金をレジに入れなかったことが、2月に2回あったことが確認されたため、雇用主は8月13日付の文書で即時解雇を言い渡した。

Hはこれを不当として提訴。一審と二審で勝訴した。判決理由で二審のハム州労働裁判所は、収集したデータは収集目的の達成に必要でなくなった場合、速やかに消去しなければならないとした旧BDSG6b条5項の規定を指摘。2月に撮影した画像を8月に利用したことは同項の規定に抵触し、基本法(憲法)で保障された人格権の侵害に当たるとの判断を示した。同画像は8月1日より前の時点で消去されていなければならなかったとの判断だ。

これを不服として雇用主は上告。最高裁のBAGは二審判決を破棄し、裁判をハム州労裁に差し戻した。判決理由でBAGの裁判官は、録画した画像の分析を録画直後する義務はなく、疑わしい出来事が起こるまで分析せずに保存することは法的に認められるとの判断を示した。

ただ、被告が行った録画行為そのものが適法だったかどうかについて二審は審理を行っていないためBAGは最終的な決定を下せないと指摘。差し戻し審ではこの点を明確化したうえで判決を下すよう指示した。

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