自動車大手の独フォルクスワーゲン(VW、ヴォルフスブルク)が韓国のSKイノベーションと共同で電動車用電池の合弁工場を欧州に建設するもようだ。独経済誌『マネージャー・マガチン』が25日、報じたもので、11月16日の監査役会で計画を承認するという。同社は報道内容へのコメントを控えている。
同誌によると、欧州にセル工場を2カ所、建設。そのうち1カ所はドイツ国内に設置するという。
VWは昨年9月に打ち出した電動車に関する新戦略「ロードマップE」で、新車販売に占める電気自動車(EV)の割合を2025年までに25%(最大300万台)へと拡大する方針を表明した。19年から電動車の市場投入を大幅に加速し、25年にはグループ全体で80種類の電動車を販売する計画だ。
欧州の自動車メーカーは現在、電動車用電池セルをアジア企業から調達している。だが、電動車の価値の最大40%を占める電池の分野でアジア勢に全面依存することは競争上の大きなデメリットとなる。
VWのヘルベルト・ディース社長はこの問題に絡んで8月、「自動車販売に占める電動車の割合が20年時点で10%になると仮定すると、車載電池の売上高は500億~600億ユーロに達する」と指摘。これほど巨大な市場をみすみすアジア勢に委ねるのは好ましくないとの認識を示した。
VWは次世代電池の本命と目される全固体電池を24~25年から量産することを視野に入れている。ただ、巨額の投資が必要なセルの生産を単独で行うことは回避する考えのため、提携先を模索しているもようだ。SK以外の電池メーカーとも協業協議を進めているとされる。