コンチネンタル―セル生産参入は補助金と切り離して決定―

独自動車部品大手コンチネンタルのエルマー・デーゲンハルト社長は20日、フランクフルト国際経済記者クラブで講演し、電池セル生産事業に同社が参入するかどうかを政府補助金とは切り離して決定する考えを明らかにした。同社が描く参入のシナリオと政府の思惑にずれがあることが理由とみられる。

電気自動車(EV)などの電動車には現在、リチウムイオン電池が搭載されている。同電池のセル分野では日中韓メーカーの競争力が高く、欧州企業が参入する余地はない。だが、次世代電池の本命と目される全固体電池であれば可能性があることから、コンチネンタルはセル生産参入を検討している。

同社長は経済紙『ハンデルスブラット』の7月のインタビューで、セル生産事業に参入するためには、開発パートナーの獲得のほか、研究開発や電力価格の面で政府の支援を受けることが必要不可欠だとの認識を示した。全固体電池実用化の「ブレイクスルー」の壁は高いためだ。

ペーター・アルトマイヤー経済相は13日、車載電池セル工場を建設する欧州企業のコンソーシアムに総額10億ユーロの助成金を交付する意向を表明した。コンソーシアムは早ければ年末から来年初頭にかけて複数、立ち上げられ、ドイツでのセル生産を2021年に開始するとみている。

21年時点で商業生産が可能な車載電池はリチウムイオン電池であることから、政府は同電池を生産するコンソーシアムの支援を念頭に置いている。

一方、コンチネンタルが生産を検討する全個体電池は実用化の時期が25年以降とみられており、同社は同電池セルの生産に踏み切るかどうかを21年以降に決定する意向だ。

デーゲンハルト社長はまた、巨大なセル工場の建設に例えば2030年までに総額100億ユーロを投資したにもかかわらずこれが失敗に終わった場合は大きな痛手を受けると指摘。セル生産に参入しなくても電動車分野で事業拡大のチャンスはあるとして、セル生産に踏み切らない可能性もあることを強調した。

上部へスクロール