需要減が続く中国の乗用車市場で、独メーカーの高級車が堅調を保っている。高級車では需要が落ちていないほか、中国の対米関税引き上げの影響を独高級車メーカーは自力で緩和しているもようだ。日刊紙『ヴェルト』が報じた。
中国の乗用車販売台数は7月に減少へと転じた。減少幅は月を追うごとに拡大しており、10月は前年同月比13.2%減となった。1~10月の累計も前年同期比2.5%減の1840万台に落ち込んでおり、2018年全体の前年割れはほぼ確実とみられている。1998年以降で最大の危機との指摘もある。
そうしたなか、独アウディの1~10月の現地販売は前年同期比14.2%増の53万9730台と大きく拡大。メルセデス(12.7%増の55万938台)、BMW(6.0%増の51万6,068台)も好調だ。10月の販売もアウディが前年同月比5.4%増、メルセデスが9.2%増、BMWが12.0%増と拡大基調を保っている。
中国市場での販売不振は現地メーカーの中・小型車と米国車で目立つ。米国車が振るわない背景には、輸入車関税の税率が7月に25%から15%へと引き下げられるなかで、米国生産車だけは40%へと引き上げられたことがある。
ただ、BMWとメルセデスは米国で生産した車両を中国に輸出している。それにも関わらず、中国販売が落ち込まないのは、現地生産を強化しているためとみられる。『ヴェルト』紙によると、メルセデスの中国販売に占める現地生産車の割合は昨年の3分の2から今年は70%超へと拡大するという。