企業敷地内でのスト参加呼びかけは違法か

労働組合が従業員に対するスト参加の呼びかけをスト対象企業の敷地外で行うことに法的な問題はない。では、そうした活動を敷地内で行った場合はどうなのだろうか。この問題を巡る係争で最高裁の連邦労働裁判所(BAG)が20日に判決(訴訟番号: 1 AZR 189/17)を下したので、ここで取り上げてみる。

裁判はサービス労組Verdiを相手取って通販大手のアマゾンが起こしたもの。Verdiは2015年9月、西南ドイツのプフォルツハイムにあるアマゾンの物流センターで2日間のストライキを実施した。その際、正門前にある同社所有の職員駐車場に陣取って従業員にスト参加を呼びかけた。16年3月にも同様の行為を行ったことから、アマゾンは所有権の侵害に当たると批判。そうした行為を以後、行わせないようにするために提訴した。

同社は一審で勝訴したものの、二審で敗訴。最終審のBAGも二審判決を支持した。判決理由でBAGの裁判官は、スト権には従業員にスト参加を呼びかける権利が含まれることを確認したうえで、アマゾンのプフォルツハイム拠点にはスト参加の呼びかけを行える場所が職員駐車場以外にないことを指摘。そうしたケースでは所有権の制限を雇用主は甘受しなければならないとの判断を示した。裏返して言えば、スト対象企業の敷地を利用しなくてもスト参加の呼びかけを行える場合は、そうした活動を敷地外で行わなければならないことになる。

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