ウーバーのハイヤー手配は違法=最高裁

アプリを通して米ウーバーが提供するハイヤー手配サービス「ウーバー・ブラック」はドイツの乗客輸送法(PBefG)に違反するとしてベルリンのタクシー会社が同サービスの禁止を求めて起こしていた裁判で、最高裁の連邦司法裁判所(BGH)は13日、原告の訴えを認める判決を下した。与党は情報通信技術を活用した移動サービスの普及に向け乗客輸送法の改正を政権協定で取り決めているため、同サービスは将来的に合法となる可能性もあるものの、少なくとも当面は提供できないことが確定した。

ウーバーはアプリを利用した配車サービスを世界的に展開している。旅客輸送免許を持たない人が運転手となる格安サービス「ウーバー・ポップ」、タクシー会社と提携して運営する「ウーバー・タクシー」、ハイヤー会社と提携して提供する「ウーバー・ブラック」などサービスは多岐にわたる。ウーバー・ポップは裁判所の判決を受けて2016年3月以降、ドイツ全土で禁止されている。

ウーバー・ブラックではアプリで手配した顧客に最も近い場所にある空き車の運転手がウーバーのサーバーから注文を受け取る。これと同時にハイヤー会社にも電子メールで受注の通知が入る。

原告タクシー会社はこれが乗客輸送法49条4項の規定に違反するとして提訴した。同項には(1)ハイヤーは各輸送サービスの終了後、速やかに事業拠点に戻らなければならない(2)ハイヤー輸送サービスの注文は事業拠点で受け取らなければならない――ことが明記されている。

裁判官は、顧客に最も近い場所にある空き車の運転手がウーバーのサーバーから注文を受け取るという事業モデルは両規定に違反すると言い渡した。直前の輸送サービスの終了後、事業拠点に戻らず出先で次の顧客を乗せて輸送することが(1)の規定に違反すると判断。また、注文を出先の運転手が受け取ることが(2)の規定に違反するとしている。

タクシーにはこうした制約がなく、運転手は出先で新たな顧客を乗せることができる。裁判官はこれについて、タクシーはハイヤーと違って料金など多くの点で規制を受けていることを指摘。ハイヤーに対し各輸送サービスの終了後に事業拠点に戻ることなどを義務づけた乗客輸送法49条4項の規定はタクシーサービスを保護するために適切であり、基本法(憲法)に抵触しないとの判断を示した。

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