欧州連合(EU)の欧州委員会は11日、英携帯電話サービス大手ボーダフォンが米メディア大手リバティ・グローバルからドイツなど欧州4カ国の事業を買収する計画について、本格的な調査を開始すると発表した。ドイツとチェコで健全な競争を損なう恐れが浮上したためで、改めて詳細な調査を行い、買収の可否を最終判断する。
ボーダフォンは5月、リバティからドイツ、チェコ、ハンガリー、ルーマニアのケーブルテレビ(CATV)事業などを184億ユーロで買収することで合意した。ボーダフォンによる買収としては、2000年の独マンネスマン買収以来の大型案件となる。
ボーダフォンにとって最も大きいのは、リバティ子会社の独CATV大手ユニティメディアの買収。ドイツのCATV市場で、これまで進出していなかった地域でケーブル通信網を確保し、全土でケーブル通信網を運営する事業者となり、通信最大手ドイツテレコムを追撃する体制が整う。
欧州委は初期審査の結果、ドイツのCATV市場で競争が弱まり、次世代ネットワークへの投資などに悪影響が及ぶ可能性があると判断。チェコでもボーダフォンが携帯電話、インターネット接続サービス、CATV市場を寡占し、他企業を締め出す恐れがあるとして、本格的な調査を開始することを決めた。来年5月2日までに調査を終え、買収を認めるかどうかを最終判断する。