独水素ステーション網、長城汽車が出資取り止め

燃料電池車(FCEV)の普及に向けて水素ステーション網の構築に取り組む独企業連合H2モビリティは1日、中国の自動車大手・長城汽車が同社への出資計画を撤回したと発表した。長城汽車は将来のFCEV販売の準備として、燃料である水素の供給に関するノウハウを吸収するためにH2モビリティに出資することで昨年10月に基本合意していたが、計画を変更した。

長城汽車は中国でFCEVの需要を掘り起こすために近く、水素ステーション網の整備に乗り出す。このため、水素ステーション網の構築や運営に必要なノウハウをH2モビリティで獲得する考えだった。だが、FCEVで世界トップになることを目指す中国政府が水素燃料網の構築を政策的に支援することから、長城汽車はH2モビリティへの参加を取りやめることにした。

H2モビリティは2015年に設立された。23年までに水素ステーションを全国400カ所に設置することを目標としており、これまでに60カ所を開設した。今後も人口が密集する主要7地域(ハンブルク、ベルリン、ライン・ルール、フランクフルト、ニュルンベルク、シュツットガルト、ミュンヘン)と一般国道・高速道路沿いに新設していき、今年末までに計100カ所へと増やす計画だ。

独ではドイツポストの電気自動車(EV)子会社ストリートスクーターがFCEVを2020年までに生産する計画。FCEVの需要を伸ばすためには水素燃料網の構築が不可欠であることから、H2モビリティは計画通りにステーションを設置していく必要がある。

H2モビリティには工業ガス大手のリンデ、エア・リキッド、ガソリンスタンド大手のシェル、OMV、トタル、自動車大手のダイムラーが出資。自動車大手のトヨタ、ホンダ、BMW、現代自動車も協賛会員として参加している。

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